フローリングやドアのカタログを見ていると、「メイプル」や「ウォルナット」という言葉を目にします。
なんとなく「木の種類」という事は分かると思いますが、色の濃さや明るさだけを見てしまいがちです。
調べてみたらとても面白かったので、今回は知ると楽しい木の種類についてご紹介したいと思います。
●広葉樹と針葉樹
木の種類はまず、広葉樹と針葉樹に分けられ、それぞれで性質や硬さが異なります。
「広葉樹」
英語で「ハードウッド」と言い、重くて硬いのが特徴。
葉は平らな形状で、幹は太くて曲がっていることが多く枝分かれしています。
強度がありキズが付きにくい為、床材や家具材として多用されてきました。
・ウォルナット、チーク、マホガニー、メイプル、ブナなど
・硬く重い
・強度があり傷がつきにくい
・揺れに強い
「針葉樹」
英語で「ソフトウッド」と言い、軽く柔らかいのが特徴。
葉は針のように細く尖った形で、幹はまっすぐ上に伸びています。
縦にまっすぐな材を切り出しやすく、軽くて扱いやすい為、柱や梁といった建築の構造材に多用されてきました。
・ヒノキ、スギ、パインなど
・柔らかく軽量
・加工しやすい
・肌触りが良い
●木の種類
建材に使われる木の種類をいくつかご紹介します。
・ブラックウォルナット
広葉樹・クルミ科
ヨーロッパ一帯、北アメリカに分布し、良く知るクルミの実をつけます。
世界三大銘木の一つとされている木材で、チョコレートのような深い色合いをしています。
衝撃に強く重硬で狂いが少なく、加工性や接着性に優れている木材で、家具や床材の他、楽器の素材としても使われます。
・チーク
広葉樹・クマツヅラ科
東南アジアに分布する、世界三大銘木の一つ。
多くの油を含んでおり保存処理をしなくても防水性に優れています。
また、湿気の多い場所を好むシロアリなどの害虫も防ぐことが出来る為、昔から戸外でもよく使われてきました。
・マホガニー
広葉樹・センダン科
中南米に分布する、世界三大銘木の一つ。
“黄金の木”などの異名を持つ希少で高級な木材。
乱伐や違法伐採を防止するためワシントン条約によって天然木の取引が制限され、現在はインドネシアをはじめ東南アジア各国で計画的な植林が進んでいます。
柾目に挽くと、「リボン杢」と呼ばれる光沢のあるストライプ状の木目が出ることがあります。
・サペリ
広葉樹・センダン科
アフリカの主に赤道付近の熱帯雨林地域などに分布。
同じセンダン科に属するマホガニーが希少になり、その代替として利用されることが多く、マホガニーと同じように「リボン杢」が出ることがあります。
・ホワイトアッシュ
広葉樹・モクセイ科
北米に生育するアッシュは葉の裏に白い粉がたくさん付いているため、ホワイトアッシュと呼ばれています。
心材の色は淡褐色で辺材はほとんど白色。
衝撃に対する抵抗力が強いことから、昔から斧やハンマー、ツルハシなどの柄、バットなどの運動具用材としても使用されてきました。
・ハードメイプル
広葉樹・カエデ科
カナダ東部およびアメリカ中西部から北東部にかけて広く分布する樹種。
メイプルシロップの原料となる樹液が採れる木で、カナダの国旗にメイプルの葉がデザインされているのも有名です。
固く粘りがあって衝撃にも強いことから、ボーリング場のレーンやバスケットボールのコート、ダンスホールの床などに使われています。
現在、硬式野球のバットといえばメイプル材が主流です。
・シカモア
広葉樹・カエデ科
ヨーロッパ中部、中国、日本に分布している樹種。
辺材・心材共に乳白色でそのままでも光沢があり、「カーリー杢」というシワが寄って波のように縮んで見える美しい木目が現れる事があります。
古くからギターやバイオリンの表面材として利用されており、中でもバイオリンの名器「ストラディバリウス」の裏板に使用されたのは有名です。
・ビーチ
広葉樹・ブナ科
日本ではビーチよりも「橅(ブナ)」という呼び方のほうが馴染みがあります。
世界遺産に登録された秋田県の白神山地のブナ林は、有名な保護林です。
粘りがあり特に曲木加工に適するため主に脚物家具に利用され、無味無臭のため食品容器にも使用されます。
・ホワイトオーク
広葉樹・ブナ科
ブナ科に分類され、オークに含まれるものだけでも数百以上あるといわれています。
ドングリの木としてもお馴染み。
ウイスキーやぶどう酒の樽材としても良く使用されます。
柾目面に「虎斑」と呼ばれる横縞の斑紋が現れることがあるのが特徴です。
・バーチ
広葉樹・カバノキ科
バーチは日本語で「樺(カバ)」。
欧州原産のものはヨーロピアンバーチ呼ばれ、北米産のものはイエローバーチと呼ばれています。
水に強く、粘りや強度もあるため床材や家具材として使用されることが多い木材です。
・ブラックチェリー(アメリカンチェリー)
広葉樹・バラ科
北米産のチェリー材の事で、日本のさくらんぼより大きくて赤黒い実をつけます。
樹脂痕による黒い斑点や筋状の「ガムポケット」という模様が入るのが特徴で、使い込む程に経年変化で飴色に変色し高級感があります。
・ヒノキ(桧)
針葉樹・ヒノキ科
福島県東南部以南の本州、四国、九州を経て屋久島にまで分布。
耐久性、耐水性、曲げ・圧縮・引張りのいずれの強度もある、日本が誇る万能な高級材。
建築材はもとより建具、家具、彫刻(仏像など)、木型、桶から神社仏閣にいたるまであらゆる面に重宝される良材です。
・スギ(杉)
針葉樹・スギ科
日本特産の代表的な樹種で、本州北部から屋久島にかけて分布。
・パイン(松)
針葉樹・マツ科
松のことを「パイン」と言いますが、50種類以上ある松の中でも赤松(アカマツ)、メルクシパイン、レッドパイン(欧州赤松)、唐松(カラマツ)、米松(ベイマツ)など木材として使用されます。
・スプルース
針葉樹・マツ科
北米大陸。北はアラスカから南はカルフォニア北部に分布。
軽くて強固な材質を活かし、かつてはヨットや飛行機の構成材としてよく用いられていました。ライト兄弟が作った世界初の飛行機も、スプルース製だったそうです。 乗り物だけでなく弦楽器にも適しており、バイオリンの逸品「ストラディバリウス」の表板にも使用されました。
日本では障子や襖などの建具で良く使用されています。
私も調べていてとても楽しく、勉強になりました。
ドアやフローリング、家具を選ぶ際に参考にしてみて下さい。